うちの施設にはよく夜中に覗き魔が出没する。とある人の窓の外からニヤニヤと眺めていた事があったそうだ。また別の人のところは部屋の扉の外から、あるいはエアコンの通風孔の中から覗いていた。またある人のところは部屋の外のベランダでゴソゴソと蠢いていたという。一体彼ら(彼女?)は何者だろうか?

   当然のことながら夜中にはセコムがかかり、表玄関その他からは入ったら通報されるようになっている。早い時間から何らかの方法で侵入し何処かに隠れていたとしても、職員とはちあわせたり防犯カメラに全く映らないのは、かなりの手練れであると見るべきか。

   それに目的は何だろうか? 何も盗らずその場でニヤニヤしていたというから、純粋に覗く事が目的だと考えられる。ここが老人ホームと知っての狼藉である(入り口にもちゃんと書いてある)。どうせ覗くなら、なぜもっと若い娘のいる部屋にしないのだろう?  マンションはピンキリだろうが、一般のアパートや住宅はもっとセキュリティが低いはずだ。言っちゃ悪いがばあちゃんの部屋なんぞ覗いても仕方がない。

   そこで犯人がどのような人物か推測を試みる事にする。

   ①戦時中に死んだ元恋人

   ②ばあちゃん好きの変態

   ③職員


  ①歳をとって何らかの霊力を身につけたばあちゃんが、ずっと側で見守っていた元恋人の存在に気づいてしまった。元気な彼女の姿を見て、思わず笑みがこぼれてしまったのだろう。成仏できずに80年近くも誰にも気づかれずにそこにいるのは、とても孤独で可哀想。気づいてあげられて良かったね。

  ②余程ばあちゃん好きで小娘には全く興味がないのだろう。それにしてもどういう経路で侵入したのだろうか?

  いやいや、そもそもそんなにばあちゃんが好きならば、危ない橋を渡らずに③の、職員としてそこで働けばいい事じゃないのか?  覗く事が仕事なのだから。

   久しぶりの更新がこんなんですみません。。。